第8章 モバイルにおけるセキュリティの要点
機密性・完全性・可用性、遠隔ロック、フィルタリング、迷惑メール対策を整理
- 第8章は、モバイル端末を安全に使うための考え方と対策の章です。情報セキュリティの3要件、盗難・紛失への対策、端末の管理、迷惑メールと詐欺、青少年のフィルタリングまで出ます。
- 機密性・完全性・可用性、ホワイトリストとブラックリスト、オプトインとオプトアウトのように、対になる用語の違いが問われます。
- 用語は「3要件と脅威」「端末の対策と管理」「迷惑メールと詐欺」「青少年の保護」の4つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第8章「モバイルにおけるセキュリティ」は、モバイル端末を安全に使うための考え方と対策を扱います。関連する法律は第9章です。
本番の60問のうち、第8章からは6問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(60問・60分)は、全10章の範囲から均等に出す形にしていて、第8章からは6問を出しています。試験全体の約10%にあたります。
もちこ道場の第8章の問題は50問です。本番と同じ4つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 20問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 10問 |
| 正しい記述を選ぶ | 10問 |
| 誤った記述を選ぶ | 10問 |
出てくる用語は、次の4つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
4つのまとまりと押さえる用語
1. 3要件と脅威
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 機密性 | 正当な権利を持つ人だけが、情報にアクセスできる状態を保つ |
| 完全性 | 情報が壊されたり、書き換えられたり、消されたりしていない |
| 可用性 | 必要なときにいつでも、情報を使える状態を保つ |
| 脅威 | セキュリティリスクを引き起こす要因 |
| 脆弱性 | 端末に起因する弱点 |
| 盗難・紛失 | モバイル環境のリスクの多くの発端。日常的にロック機能を使うことが重要 |
2. 端末の対策と管理
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 遠隔ロック | 盗難・紛失時に、移動体通信会社またはユーザの操作で端末をロックする。解除は移動体通信会社だけ |
| 遠隔バックアップ | アドレス帳などのデータをデータセンタに保存する |
| リモートワイプ | 紛失・盗難のときに、離れた場所から端末のデータを消す機能。IPA の調査では、パスワードロックに比べて使われていない |
| MDM | 貸与端末全体の管理を行うシステム |
| EMM | MDM に、アプリを管理する MAM とコンテンツを管理する MCM を加えたもの。BYOD にも柔軟に適用できる |
| 暗号化 | データ通信の盗聴への対策。公衆無線LANや Bluetooth の利用制限もある |
| マルウェア対策 | 正規のマーケットプレイスを通さないアプリの導入を制限する。管理者権限が奪われるおそれがある |
3. 迷惑メールと詐欺
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| オプトイン規制 | 広告宣伝メールを、原則として事前に同意した相手にだけ送れる |
| フィッシング詐欺 | メールの URL から偽の Web サイトへ誘導し、ID や個人情報を盗み取る |
| 迷惑メール対策サービス | URL付きメール拒否、指定アドレス・指定ドメインの受信/拒否、HTMLメール拒否、なりすましメール拒否 |
| 指定ドメイン受信/拒否 | 「@」より右側のドメイン名を指定して、受信するか拒否する |
| 迷惑メール相談センター | 日本データ通信協会が設けている |
| 非通知着信の拒否 | 迷惑電話の対策として、電話番号が非通知の着信を拒否する |
4. 青少年の保護
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 青少年インターネット環境整備法 | 青少年のスマートフォン等へ、保護者の申し出がない限りフィルタリングを義務付ける |
| 有害情報フィルタリング | 18歳未満の青少年が有害情報に触れないよう、移動体通信会社の側で規制する |
| ホワイトリスト方式 | 安全で有益と判断したサイトだけを許可する |
| ブラックリスト方式 | 有害な特定のサイトだけを制限する |
| 親権者(保護者)の同意 | フィルタリングの申込みをしない場合や、解除する場合に求められる |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何を守るか」「どう分けるか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| 機密性・完全性・可用性 | 見せる相手を限る、壊されない、必要なときに使える |
| 脅威と脆弱性 | リスクを引き起こす要因か、端末に起因する弱点か |
| 遠隔ロックと遠隔バックアップ | 端末をロックするか、データをデータセンタに保存するか |
| MDM と EMM | 端末全体を管理するか、アプリ(MAM)とコンテンツ(MCM)の管理も加えるか |
| オプトインとオプトアウト | 事前に同意した相手にだけ送る(オプトイン)か、拒否されるまで送ってよい(オプトアウト)か。広告宣伝メールは原則オプトイン |
| ホワイトリストとブラックリスト | 許可するサイトを限る(ホワイト)か、制限するサイトを限る(ブラック)か |
この章の勉強の進め方
- 4つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
ほかの章の要点は「記事の一覧」にまとめています。
第8章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第8章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
モバイル端末に保存されたデータや機能について、必要な時にいつでもアクセス・使用できる状態を維持することをセキュリティの要件で1という。これが損なわれると、機器の紛失や故障時に必要な情報が取り出せなくなる。
答えと解説を見る
正解は 3(可用性)です。
【概要】
必要なときにいつでも情報へアクセスし利用できる状態を保つ要件は可用性である。紛失や故障などで情報が使えなくなると、この要件が損なわれる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 完全性あなたの解答 完全性は情報が壊されたり書き換えられたりしていない状態を指し、いつでも使えることを求める本問の要件ではない。
- 2. 機密性あなたの解答 機密性は権利を持つ人だけが情報にアクセスできる状態を指し、利用できる状態の維持を求める本問の要件ではない。
- 3. 可用性正解あなたの解答 可用性は必要なときに情報へアクセスできることを求める要件であり、空欄(1)の説明に合致する。
- 4. 信頼性あなたの解答 信頼性は一般に機器やシステムが故障せずに動き続ける性質を指し、情報セキュリティの3要件(機密性・完全性・可用性)の1つではない。
問2
有害情報フィルタリングサービスの提供方式のうち、青少年にとって安全で有益と思われる特定のWebサイトのみアクセスを許可し、それ以外への接続をすべて制限する方式を1方式という。
答えと解説を見る
正解は 2(ホワイトリスト)です。
【概要】
ホワイトリスト方式は、青少年に安全で有益と判断したWebサイトに限って閲覧を許し、ほかへの接続を制限するフィルタリング方式である。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ブラックリストあなたの解答 ブラックリストは原則すべてのサイトを閲覧可能とし有害な特定サイトだけを制限する方式であり、本問とは逆の考え方である。
- 2. ホワイトリスト正解あなたの解答 ホワイトリストは安全で有益と判断したサイトだけを閲覧可能にする方式であり、空欄(1)に当てはまる。
- 3. オプトインあなたの解答 オプトインは事前に同意した相手にだけ広告宣伝メールの送信を認める考え方であり、フィルタリングの方式ではない。
- 4. オプトアウトあなたの解答 オプトアウトは一般に受信者が拒否するまで送信できる考え方であり、Webサイトの閲覧を制限する方式ではない。
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よくある質問
第8章はどの章とつながっていますか?
第7章で SNS や決済などのコンテンツの特徴を扱い、第8章でそこに潜むリスクと対策を扱います。第9章では、青少年保護や迷惑メールなどに関係する法律を扱います。
機密性・完全性・可用性は何が違いますか?
機密性は正当な権利を持つ人だけが情報にアクセスできること、完全性は情報が壊されたり書き換えられたり消されたりしていないこと、可用性は必要なときにいつでも情報を使えることです。
遠隔ロックは誰が解除できますか?
解除は移動体通信会社だけが行えます。そのため、第三者に解除されるおそれが小さくなります。
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出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。